はじめに|幸せに感じる場所は、頭では決められない
家づくりで「どこが一番大事か?」と聞かれても、
正直、図面やSNSを見ているだけでは分かりません。
なぜなら――
自分が幸せに感じる場所は、自分の感覚でしか分からないからです。
だからこそ私たちは、
家づくりの前段階として
『1棟貸しの宿に泊まる』という体験をおすすめしています。
前回の記事では、
「1棟貸しの宿=幸せの基準を探すための準備」であることをお伝えしました。

今回はその続編として、
泊まった『2日目』にやってほしい具体的な作業と、
そこから見えてくる
家づくりの取捨選択の考え方を整理します。
1棟貸しの宿|2日目にやってほしい3つの作業
チェックアウト前の、少し落ち着いた時間。
スマホのメモで十分なので、次の3つを書き出してみてください。
旅行の最中でもあるので、できるだけ簡単な作業にしています。
① 自分が一番長く居た場所を書く
・リビング?
・ダイニング?
・窓際?
・ウッドデッキ?
・ベッドの上?
「良かった場所」ではなく、
無意識に一番長く居た場所がポイントです。
そこに、あなたの「幸せのヒント」があります。
② 泊まって困ったことを5個書く
小さなことでOKです。
・動線が遠い
・収納が使いづらい
・寒い/暑い
・音が気になる
・掃除が面倒そう
など、
違和感=家づくりの改善点です。
③ 別にいらなかったものを5個書く
・広すぎる玄関
・使わなかった部屋
・豪華すぎる設備
・おしゃれだけど不便な造作
「なくても困らなかったもの」は、
そのまま家づくりで削れる候補になります。
家づくりの本質は、取捨選択
家づくりは、
足し算ではなく、取捨選択です。
全部を完璧にしようとすると、
・予算は膨らみ
・判断はブレて
・結果、どれも中途半端になります。
「幸せを感じる部分」を残すために、削っていいものを見極める。
その練習として、
1棟貸しの宿はとても優秀です。
※今住んでいる家だと「慣れ」が邪魔をして判断しづらいため、
非日常の1棟貸し宿で考えるのがポイントです。
削減メニュー①|間取り|無駄を減らすのは超重要
⬜︎室内の面積を減らす
問題ない建物は、最低でも坪100万円の時代。
1坪面積を減らすことができれば、約100万円コストダウンと考えても過言ではありません。
- 廊下の幅
- 玄関の幅・奥行き
- 収納を最低限にする
- 部屋を最低限に(部屋が広いと、無駄にに大きな家具を買いがち広さ=幸せ、とは限りません。)
- 収納を最低限に(物を収納するより、間取りの面積を減らし必要なら買い直す方がよっぽど安い。)
⬜︎ 外部の建築で作る面積を減らす
室外の空間は、防水が必要になるなど、よりお金がかかります。
漏水の弱点になる可能性もあるので注意が必要です。
- ベランダ →本当に外に洗濯を干す?
- サンルーム →使うのは春や秋になりがち
⬜︎ 造作(据付)をなくす
- 既製品の棚を入れる
- 可変式の家具を削減
壊れた時に、IKEAの棚なら交換できますが、造作棚は業者対応が必要
将来的に、労力もお金もかかる可能性があります。
⬜︎ シンプルな形にする。
シンプル イズ ベスト という言葉がありますが、本当にその通り。
形状の複雑な家は、コストアップやメンテナンス性の低下だけでなく、雨漏りのリスクも上がります。
- 1階と2階の外形ラインを揃える。
- 屋根形状を寄棟にする。
外壁の形状で遊びたい場合は、設計士の方と本気で将来のメンテナンス性や漏水リスクに向き合う必要があります。
⬜︎ 様式
- 和室は必要か。
和室は、
フローリングより材料費が上がりがち。
フローリングにカーペットでも機能的に不自由はしません。
本当に使うか、一度立ち止まって考えましょう。
削減メニュー②| 設備|ここは金額が跳ねやすい
⬜︎ 設備機器を最小限に
設備機器は本当にピンからキリまであります。
アイランドキッチン1つで200万以上差がつく場合もザラです。
- アイランドキッチンは必要?
→ 壁付でもおしゃれな事例は多い - トイレを1つにする
- 洗面を1つにする
- 照明は既製品
→ 既製品で十分おしゃれ - 床暖房をなくす
→初期コストも、修繕費も高い。エアコンという選択も合理的
⬜︎ 設備の配置
- 水回りは集約されているか。
水は、土地1つにつき、1箇所から引き込みます。
そのため、トイレや洗面所、お風呂、キッチンの場所を集約できると
という2重の効果が得られます。
削減メニュー③|建具|特注は慎重に
⬜︎ 窓や扉を特注にしない
デザインを重視する設計者は、多々特注サイズの窓を設計に組み込みます。
確かにちょっとオシャレなんです。
でも、既製サイズで設計してもらうだけで、かなりコストが変わります。
将来壊れた時も、特注は再注文が必要。
そこまでこだわりがないのであれば、既製のサイズでも十分です。
⬜︎ 大きすぎる窓はサイズダウン
窓は建築の断熱的に、一番の弱点となる場所です。
見た目と住みやすさ、両方を天秤にかけましょう。
削減メニュー④|外構|最初だけ綺麗、に注意
⬜︎ 植栽
最初は良くても、異常気象の現在は特に、維持が大変。
枯れた植栽って見た目が悪いです。
(趣味で、植栽を枯らさない自信がある方は、全然OK)
植栽を取りやめるとコストは下がるため、考える価値はあります。
⬜︎ 駐車場の仕上げ
- コンクリートをやめてアスファルトに
- それもやめて砂利敷きに
個人的には砂利敷きで困らないと思っています。
建築屋として「削ってほしくないもの」
最後に、ここは削減すべきではないという項目です。
⬜︎ 断熱性・気密性
ここを妥協すると、冬は寒く、夏は暑い家になります。
結果的に
・電気代UP
・後付け設備購入
本質的な節約になりません。
防音面でも不利になり、生活ストレスが増えるので、オススメしません。
戸建て住宅を買う場合は、ちゃんと断熱されているか確認したいです。
⬜︎ 外装材
外壁は雨風を凌ぐ部分になると同時に、家の顔です。
下記に注意してください。
高級でなくていい。ただし、ケチりすぎると劣化が早いです。
→検討をしている素材で、10年ほどたった家を見学できるとベストです。
→設計士に事例がないか聞いてみましょう。
色味も重要。雨垂れなどの汚れが目立つため、個人的には白はおすすめしません。
→グレー系などが無難です。
⬜︎ 耐震性
かといって、倒壊してもいい、と思う人は少ないはずです。
耐震性を下げるなら、リスクを理解した上で資金計画を。
まとめ|1棟貸しの宿は、最高の家づくり教材
1棟貸しの宿は、
ただ泊まる場所ではありません。
・自分の感覚を知る
・削っていいものを体感する
・幸せを残す練習をする
家づくりで後悔しないための、最高の実地訓練です。
次に泊まる時は、
ぜひ2日目にこの作業をやってみてください。
きっと、図面の見え方が変わります。

あなたの家づくりが最高の作業になりますように。
以上、ちょこ旅でした!






コメント