宿を探しているとき、
「この旅館、築年数が古いけど大丈夫かな?」
そう思ったことはありませんか。
実はこの疑問、 多くの人が検索している一方で、 はっきり答えてくれる記事はあまり多くありません。
私のところにも、よく寄せられる疑問の一つです。
建築に15年以上関わってきた立場から言うと、
宿選びにおいて築年数は、ポイントさえ押さえれば重要ではありません。
なぜ「築年数で宿を選ぶ」はよくある疑問なのか
SNS・口コミでよく見る“古い宿=不安”の声
「全体的に古さを感じた」「設備が古い」
『古い』という言葉は、快適さへの不安に直結します。
旅行は失敗したくない買い物。だから築年数が気になるのです。
実際に
「宿 築年数 気にする?」
「古い旅館は大丈夫?」
多くの人が、築年数で判断していいのか迷っています。
旅の判断基準として“新しさ”を優先する心理
人は判断材料が少ないとき、数字に安心を求めます。
築3年と築30年。
それだけを見れば、築3年を選ぶ人が多いでしょう。
しかし建築の世界では、
築年数と快適性は必ずしも比例しません。
知らずに選ぶと、
「新しいのに疲れた」という結果も起こります。
結論|宿の居心地と築年数は直接関係しない
自分が買う家と違って、
『宿を修理する』のは自分ではありません。
一生住む場所でもない。
その滞在の時間が心地よければ、それで十分です。
だからこそ宿は、
築年数という数字よりも、
『泊まった瞬間の快適さ』で判断したい建築です。
新しくても疲れる宿はある。
古くても、心地よい宿はある。
宿の快適さは
「何年経ったか」ではなく、
『どう扱われてきたか』で決まります。
古さは、ときに欠点ではなく、
その宿だけの時間の積み重ねでもあります。
役割が違えば、
築年数の見え方も、少し変わります。
建築のプロ目線|本当に見るべき3つのポイント
① 水回り・設備が更新されているか
築年数よりも重要なのは、トイレなどの設備機器が新しくなっているかにあります。
建築を計画する場合でも、『建物』よりも、『設備』の方が早く修理をする想定で予算を立てます。
理由は簡単です。
外壁と、設備のトイレを比べた時に、先に設備の方が故障するからです。
同時に、設備はどんどん機能が古くなる。
10年前の外壁は、全然見た目も問題ない。
でも、10年前のトイレと今のトイレだと快適性は全然違いますよね。
◼️見分け方のコツ
・タンクがないトイレの部屋を選ぶ。
・感覚的ですが、新しいトイレは流線的なデザインです。
★目を養うという目的で、写真を貼っておきます。
(参考:リクシルさんのトイレの文化館より)
▼古いトイレ

▼新しいトイレ(2000年代以降)

どうでしょう?
結構わかりやすいのではないでしょうか?
② 構造として“古さに耐えられる建物”か
『古い』への不安には、『安全性』も含まれます。
1日の滞在でも気になる方へ、
簡単な目安を。
この基準以降の建物は、
震度6〜7でも倒壊しないことを前提に設計されています。
※創業年ではなく「建築年」を確認します。
それ以前の建築でも、
耐震補強をしている宿は多くあります。
気になる場合は
「宿名 耐震」で検索すればわかります。
不安であれば、宿に問い合わせても失礼に当たらないかと思います。
見るべきは築年数そのものではなく、
必要な対策がされているかどうか。
ここを確認できれば、十分です。
築年数を気にしなくていい・むしろ狙い目の宿タイプ
いま、新築工事費は高騰しています。
資材費・人件費の上昇で、
100億円の計画が1年後に103億円になる。
そんな世界です。
つまり、昔と同じ宿を今つくれば、宿代はもっと高くなる。
だからこそ、
広い客室や、庭を持つ『築年数が経っている宿』は、
体験に対して、宿代がやすい事があります。
築年数が古いのではなく、
建てられた時代のコストが違うだけ。
お得感ありますよね
ここからは、
築年数を過度に気にしなくていい宿タイプを見ていきます。
リノベ済み温泉旅館
客室リニューアル済み、大浴場改修済みなど、
改修履歴が明確な宿は安心材料になります。
建物自体は古くても、
滞在に直結する部分が更新されていれば、快適性は十分。
文化財・古民家系の宿
登録有形文化財や古民家再生型の宿は、
『古さ』を価値として磨いています。
梁や柱、建具の質感。
これは新築では再現できません。
多くは耐震補強や設備更新を施した上で営業しています。
放置された古さとはまったく別物です。
NIPPONIA系など改修型ブランドや、星のリゾートの一部
古い建物を再生することを前提としたブランドは、
改修の思想が明確です。
単なる修繕ではなく、
・動線の再設計
・設備の入れ替え
・空間の再編集
を行っています。
築年数に注意が必要な宿を見分けるコツ
築年数そのものは問題ではありません。
ただし、手をかけられていない古さは別で、注意が必要です。
・値段だけを売りにしている宿
「とにかく安い」だけを前面に出している場合、
維持管理に十分な投資がされていない可能性があります。
・改修履歴がまったく見えない宿
長く営業しているのに、
改装や設備更新の情報が一切出てこない。
これは少し慎重に見たいポイントです。
・写真や情報が極端に少ない宿
設備投資やリノベーションをしていれば、
本来は“見せたい”ものです。
写真や情報は、宿にとって大切な営業ツール。
それが極端に少ない場合は、
『設備投資やリノベーション』に十分に手が入っていない可能性もあります。
まとめ|築年数より「どう使われてきた建物か」を見る
築年数は目安になります。でも、それだけで価値は決まりません。
いまは100億円の計画が1年後に103億円を超える世界。
当時だからこそ実現できた広い客室や庭、贅沢な造作があります。
それを「古い」で終わらせるのは、建築目線ではもったいない。
見るべきは築年数より、その後どう手が入れられてきたか。そこに狙い目があります。
あなたの宿選びが、建築を味方につけた素敵な時間になりますように。
いい旅を!
ちょこ旅でした。
※実際に訪れた中でおすすめの宿もまとめています。
ぜひこちらもご覧ください。


