以前と同じ資金計画の立て方では、
気づかないうちにリスクを抱える時代になりました。
▼特に今、増えているのがこの流れです。
設計者の概算見積を信じて設計が進む
↓
施工見積が提示される
↓
『……え、ちょっと待って』
この瞬間、空気が変わります。そして始まる減額調整。
少しも珍しい話ではありません。
むしろ、今の家づくりでは典型的な展開です。
問題は、設計が悪いわけでも、工務店が悪いわけでもないこと。
前提となる「予備費の考え方」が、時代に合っていないこと。
かつては、
『建築費の10%を予備費に』
この考え方で大きな問題は起きにくい時代でした。
しかし現在は、
・資材価格の上昇
・人件費の上昇
・為替やエネルギーコストの変動
建築費そのものが大きく動く時代です。
さらに金利も上昇傾向にあります。
それにもかかわらず、
予備費の持ち方が昔のままではどうなるか。
家づくりで本当に避けたいのは、資金計画の崩れです。
この記事では、
・なぜ今、予算オーバーが起きやすいのか
・従来の予備費では足りない理由
・物価上昇時代に必要な『2つの予備費』という考え方
を、建築実務の視点から整理します。
予算オーバーしては、『どんな素敵な家が出来ても』つらい
家づくりで一番つらい瞬間は、
完成後に後悔することではありません。
予算を超えてしまうと、
その家は少しずつ
「心配とセットの存在」になってしまいます。
本来、家は安心するための場所。
毎月の支払いを考えるたびに
気持ちが重くなるとしたら、
それは少し、もったいない。
家づくりは、完成がゴールではありません。
住み始めてから、
穏やかに暮らせることが一番大切です。
目標金額ギリギリで設計すると、なぜ危険なのか
『3,500万円までなら出せます』
なぜか。
設計段階では、まだ確定していない項目が多いからです。
図面が完成しても、
実は細部までは決まりきっていないことがほとんどです。
例えば——外回りで言えば、
・外構はどこまで造り込むのか
・植栽を入れるなら、どんな樹種にするのか
・アプローチをタイルにするのか、コンクリートにするのか
・隣の家との間に、目隠しフェンスを追加したくなる
こうした選択で、金額は大きく変わります。
建物の中でも同じです。
・壁紙は量産品にするのか、デザインクロスにするのか
・床材は標準仕様か、無垢材にするのか
・照明はシンプルなシーリングか、間接照明を入れるのか
どれも、図面上では同じ“部屋”に見えます。
でも、選ぶ製品によって価格は動きます。
設計段階の金額は、
まだ“仕様が確定する前の想定値”であることが多い。
だからこそ、
ギリギリの予算で設計を始めると、
ほんの少しの仕様変更でも計画が揺らぎます。
図面が完成しても、
金額はまだ“動く前提”なのです。
設計段階では見えない“後から出るお金”
家づくりの怖さは、
『あとから出てくるお金』にあります。
・思ったより地盤が弱かった。
→地震対策で杭を打った。
・思ったより地盤に高低差があった。
→平にする作業にお金がかかった。
・地中から埋設物が出てきた。
→取り除く費用がかかった。
・設計者は気づかず、施工のプロだからこそ気づく、明らかに改善すべき内容が見つかった。
→この設計、漏水が起きやすいから少し変えた方がいいんじゃない?など。
どれも珍しい話ではありません。
だからこそ、
家づくりでは、しっかり予備費を用意することを個人的にはお勧めしています。
これまでの「予備費10%程度」は今の時代に合うのか?
昔から言われてきた考え方があります。
『建築・土地+外構費+家具家電の10%は予備費として用意しておく。』
これは間違いではありません。
ただし——
時代が変ったと考えています。
昔の建築費の考え方
以前は、建築費の変動は比較的穏やかでした。
想定外の工事に備える。
仕様変更に備える。
つまり、
『工事中のブレ』に備えるのが予備費でした。
なぜ今は同じ考え方が通用しないのか
今は状況が違います。
皆様も生活する中で、物価上がってるなあという認識はあるのではないでしょうか?
建築業界も同じです。
・資材価格の上昇
・人件費の上昇
・為替の影響
色々な原因で、工事金額が上がっています。
具体的にどれくらい上がっているか。
家を建てる皆様に知って頂いた上で、対策をご説明したいので、少しびっくりされるかもしれない現状を説明します。
対策もこの後に書くのでご安心ください。
◼️端的にデータ
①10年前は、毎年の値上がりはなかったが、直近は異なる。
②2016年から2026年で、住宅の価格は1.5倍になっている。
③直近1年では、年5%上昇。
家建てられないじゃん!という話ではありません。
知った上で対策する必要があるという話です。
詳細まで見る必要はないですが、一応根拠としてデータも上げておきます。
建設物価調査会 の都市別指数(https://www.kensetu-bukka.or.jp/business/so-ken/shisu/shisu_kentiku/)

今の家づくりで見るべき『2つの予備費』
ここが一番大事な話です。
今は、予備費を2種類で考えるべきだと私は思っています。
① 想定外工事のための予備費(従来型)
・地盤改良
・仕様変更
・追加工事
これは従来型の予備費。
目安は、『土地代・建築費・家具家電』の10%前後。
ここまでは、昔と同じです。
② 物価上昇リスクのための予備費(新しい視点)
問題はここ。
契約から完成まで、
1年近くかかることは珍しくありません。
もし建築費が5%上がったら?
『土地代・建築費・家具家電』の10%前後。に加えて、物価上昇費の5%
計15%ほど見てはいかがでしょうか?
心配な人はもう少し積み上げても良いと思います。
完成までに1年かかるなら、どう考える?
完成が1年後なら、
・契約時点で価格固定なのか
・スライド条項があるのか
・追加費用の可能性はあるのか
ここを確認するだけで、未来は変わります。
予備費は、
未来の自分を守るための費用です。
私なら、こう見る
ここからは、実務的な話です。
絶対こうしましょうと言う話ではありません。
ただ、私が家族や友人、読んでいただいている方といった、大切な方にアドバイスするなら、こう話すという内容です。
土地を買う前に「総予算の上限」を決める
本体価格ではなく、
『家づくりに使える総額はいくらか』
ここを最初に決めます。
・土地
・建物
・外構
・諸費用
・家具家電
+予備費○%
全部込みで考えます。
そんなん金額わからへんわ!という方には朗報です。
毎月、いくらローンの支払いができるかを考えてください。
もちろん、子供ができたり、産休があったり。
そこも含めてです。
家の総額は、『借入限度額』ではなく、毎月無理なく返せるローンの金額です。
総額を土地・建物・・・と割り振っていく時に、予備費にもお金を振り分けていく事をお勧めします。
予備費を守るためにやるべきこと
本体価格ではなく「総額」で管理する
『建物は2000万円です』
という言葉に惑わされないこと。
家づくりは、総額勝負です。
その2000万には外構費用や、ガス管の引き込みは含まれていますか?
総額で管理すると、建物の目先の安さに踊らされづらくなります。
予備費は“使わない前提”で置く
予備費は、使う前提で置くと消えます。
特に建築は、オプションが本当に多い。
外装材をちょっと変えるだけで余裕で10万以上のお金が動きます。
使わない前提で置く。
残ったら、
家具に使ってもいいし、貯金してもいい。
心の余白になります。
金額は最初が勝負
減額を大きくするには、建物形状を触るのが一番です。
最初にいかに、金額がかからない形にしていけるかが一つ勝負と言えます。
他の記事で、減額を図れる項目出しをしていますので、読んでみてください。
▼この記事の後半で書いています。

優先順位を先に決めておく
・絶対に譲れないもの
・削れるもの
最初に決めておくと、
迷いません。
私は一棟貸しのホテルに泊まって、自分が何に幸せを感じるかチェックすることをお勧めしています。
お金の話を遠慮しない
設計士に遠慮しない。工務店に遠慮しない。
予算をしっかり伝えた上で、作り上げていきましょう。
もちろん伝える予算は、予備費を抜いた金額です。
『絶対ここに収めます」という姿勢で臨みます。
まとめ
家づくりは、大きな買い物です。
だからこそ、ギリギリで戦わない。
余白を持つ。
それが、
後悔しない家づくりの一番の近道だと思っています。
今回は『今の世の中に合った、予備費をもつ』ことをお勧めしました。
みなさんの家づくりがより良いものになりますように!
以上、ちょこ旅でした。
▼家づくりの基準を見つける方法をお伝えしていますので、こちらもぜひ!



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