設計図が完成して、
『よし、ここまで来た!』『あとは建てるだけだね!』とホッとした時。
実はそのタイミングが、
家づくりで一番危ない瞬間です。
『え?これ見積もりに入っていなかったの?』
『こんなに追加費用かかるの?』
これは施工中、当たり前のように起こることです。
なんと、不動産開発の現場で、プロ同士でチェックしていても起きます。
そして一度施工の契約してしまうと、
後からひっくり返すことは非常に難しい。
だからこそ重要なのは、契約前です。
今回は、
1級建築士であり不動産開発を行う立場として
「契約前に絶対にやること」をお伝えします。
施工前にやるべきこと①「別途工事」の見える化
建築現場に馴染みがない方は驚かれることがあります。
建築の見積もりは、『別途工事』が多く存在します。
これは簡単に言うと、
『それは建築工事に含まれていません』
『別で発注してください』
というものです。
ポイントは「生活できる状態」で考えること
ここで一番大事なのは、
見積もりを「建物」ではなく
「生活できる状態」で考えることです。
例えば、
・カーテンレール
・エアコン(配管含む)
・照明
・インターホン
・外構
・ネット回線
・全面道路の切り下げ(道路に車がすぐ出られるようにすることです)
・電気、ガス、上下水、弱電の、敷地への引き込み費用
・地盤改良費用
こういったものは、結構簡単に抜け落ちます。
単に数十万〜数千万円ズレます。
具体的に何をやるべきか
やることはシンプルです。
◼️見積もり依頼時に2つの条件を出す。
①『敷地の調査から、外構や設備機器、カーテンレールなど、家の機能として使える状態で引き渡すために必要な、すべての項目を見積もりに含むこと。』
②『家具含め、別途発生する可能性がある費用は、漏れなく別途工事として別紙に詳細に記載すること』
ポイントは
・見積もりに含まないものを「別途工事」として、別紙にすべて記載してもらうこと。
・そして、文字で依頼をし、議事録やメールを残すこと。
です。
あとは、もらった別紙を見て確認をしていきます。
別途項目を、工事に含んで再見積をお願いするか、別で発注するかを決めていくのです。
契約前に、工事の漏れを整理します。
ここが曖昧なまま、契約はしません。
最終手段は「図面の赤書き」
そして最後にやるのが、
図面の赤書きです。
工事に含まれないものを赤で記載する図面の作成をお願いします。
※設計と施工が同じ場合は、設計を始める前に設計者にお願いしておくのがベストです。
別途項目がわかりやすくなった図面を、契約書に添付しましょう。
ここまでやります。
建築は、無数にある製品を組み合わせて作るので
文章や口頭では、必ず抜けが出ます。
図面は、設計者・施工者・あなた達施主を繋ぐ最大の認識合わせツールです。
図面を見慣れていないのであれば、最も確実に漏れを防ぐ方法だと思います。
ここで会社の本質が見える
正直に言うと、
ここまで求めると嫌がる会社もあります。
(施工側にいた経験からすると非常にリスキーなことでもある。見込み漏れがあったら赤字をこうむるので)
でも、それで問題ありません。
むしろその反応こそが、
その会社の誠実さと施工力を見極める材料になります。
施工前にやるべきこと② 総合工程表を提出していただく
建築はスケジュールがすべてです。
時間がかかればお金がかかります。
そして、口頭で進めると
ほぼ確実にズレます。
だから必ず、
総合工程表の提出をお願いしてください。(少なくとも月単位)
必ず入れてもらうべき項目
工事として一般的な項目
・着工日
・建て方開始日
・上棟日
・竣工日
これに加えて、
・設計開始日
・設計完了日
・確認申請提出日
スケジュール含め見積もりです。
思ったより工期がかかれば、設計者・施工者の人件費や、現場にかかる費用が雪だるま式に増えていきます。
”施工者は、どの工程で施工できると見込んだのか”
ということを証拠として残しておく必要があると思います。
施工前にやるべきこと③ 契約を急がないこと
漏れを潰していくには時間がかかります。
そして、設計者や施工者はできれば、泳ぎしろ=増額代を作っておきたいものです。
契約を急がないこと。
・曖昧な部分がある
・理解できていない項目がある
この状態で契約するのが、一番危険です。
何が工事金額に含まれているのか?
抜けているものはどうやって工事に含むか?
ここを、先に紹介した、別途項目と、図面を見ながら解消してから進みましょう。
④ 最後の保険としての「1年点検」
ここまでやっても、正直、完璧にはなりません。
だからこそ必要なのが、引き渡し後のリカバリー体制です。
その中核になるのが、1年点検。
契約前に、
・無償で実施されるのか
・どこまで補修対応してもらえるのか
・誰が、どの方法で点検するのか
ここを明確にしておきます。
ポイントは、
契約書内で1年点検について謳うこと。
これが曖昧だと、『有償になりますがいいですか?』と言われたりトラブルが起こりかねません。
『契約書に則って、1年点検をお願いします』
と言えるようにしておきましょう。
まとめ
後悔の原因は、
「知らなかった」「決めていなかった」こと。
契約前に、
・別途工事の整理
・図面で範囲の明確化
・工程の共有
ここまでやる。
あとは、業者の反応を見る。それがすべてです。
少しでも、皆さんの家づくりのお役に立てていれば嬉しいです。
良い家づくりを!
以上、1級建築士のちょこ旅夫婦でした。



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