地震保険の仕組みを建築士が解説|「入っても家は建て直せない」理由

『地震保険に入っていれば安心ですか?』

家づくりや不動産の相談を受けていると、よく聞かれる質問です。

結論から言います。

地震保険は、家を守るためのものではありません。
あくまで、生活を立て直すための資金です。


目次

重要。地震保険は「家を建て直すための保険」ではない

火災保険のように、
「直した分だけ支払われる仕組み」ではありません。

地震保険は、
被害に応じて、決められた割合の金額が支払われる仕組みです。

支払いの仕組み

  • 全損:100%
  • 大半損:60%
  • 小半損:30%
  • 一部損:5%

ここで大事なのは、
最初から“満額出ない設計”になっていることです。


そもそも、いくらもらえるのか

地震保険は、
全損でも「家の半分」までしか出ません。

たとえば——

・火災保険:3,000万円
→ 地震保険:最大1,500万円

つまり
家を建て直すには足りない金額です。

なぜこんな仕組みなのか

理由はシンプルです。

地震は、広範囲で一気に被害が出る災害です。
すべての住宅を満額補償すると、制度そのものが成り立ちません。

そのため、

「保険会社+再保険+国」
で支える仕組みになっています。

それでも補償は「最低限」に抑えられています。

結論:建て直せるのか?

基本的に、建て直すことはできません。

これは欠陥ではなく、制度としてそう設計されています。
地震保険の位置づけは、生活再建のための資金です。

耐震性能の「本当の意味」

耐震と聞くと、
『壊れない家』をイメージする方が多いと思います。

ですが、1級建築士目線で書くと、実際の考え方は違います。

日本の家はこう設計されている

・震度5強程度 → 修繕なしで使い続けられる
・震度6強〜7 → 倒壊しない(ただし損傷はする)

なぜ「壊れない」設計にしないのか

建物を固くしすぎると、逆に危険だからです。

想定を超える地震が来たとき、
しなりが効かず、ある瞬間に一気に壊れるリスクがあります。

実際の設計思想

そのため建物は、

あえて「しなりながらゆっくり壊れる」ように設計されています。

・力を受け流す
・変形しながらエネルギーを逃がす

想定できない地震でも、
人が避難できる時間を確保するためです。

ここが重要です

大地震では、「無傷で残る」ことは前提ではありません。


実際に起きること

現実には、

  • 建物は大きく損傷する
  • 修繕費は高額になる
  • 保険では足りない

という状況になります。

この事実を知って対策しなければ、
住めない家とローンだけが残る可能性があります。


地震保険は必要か?

これは状況によります。

必要性が低い人

  • 現金で建て直せる人

検討すべき人

  • 住宅ローンが残る人

家がなくなっても、
ローンはなくなりません。

そのときに、一定額の資金があるかどうかは、
生活を建て直す上で大きな差になります。


本当に重要な地震対策

大切なのは、壊れた後ではなく、壊れにくい前提をつくることです。

・地盤
・構造(耐震・制振・免震)

ここに目を向けることが、現実的な対策になります。


投資の視点から見ても同じ

私がREIT(不動産をみんなで持ち、収益を分け合う仕組み)に投資する際も、
免震構造の割合はかなり重視します。

これは「損傷しにくさ」が、そのまま価値に直結するからです。


まとめ

地震保険は、
家を元に戻すための保険ではありません。

生活を立て直すための資金です。

まずは、地震保険の仕組みを知ること。
これだけで地震が起きた時の心持ちが違います。

そして少しずつでもお金含め地震が起きた時の準備をしていきましょう。

皆さんの生活がより安心できるものになりますように。
以上、1級建築士夫婦のちょこ旅でした。


▼家づくりのコツなども書いておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

夫婦ともに1級建築士
(夫:施工管理→不動産開発/妻:施工管理→設備設計。)

建築や不動産業界の経験をもとに、
『失敗しない宿選び』
『失敗しない家づくり』
を伝えるべく活動中

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